日本共産党の歴史と現在 — 革新勢力の歩みと現状を徹底解説

日本共産党の歩みと現在の政策を、初心者にもわかりやすく整理しました。戦前の弾圧、戦後の再建、そして今日注目を集める経済・環境・平和政策まで、流れを追いながら読み進めてください。

日本共産党の起源と結党の背景

1922年に誕生した日本共産党(JCP)は、日本で最も長い歴史をもつ革新政党です。当時の社会は貧富の差が深刻で、労働争議も頻発していました。党は「すべての人が人間らしく暮らせる社会」を掲げて活動を開始しましたが、戦前は治安維持法による厳しい弾圧を受け、多くの党員が投獄や拷問の対象となります。それでも地下活動を通じて反戦と労働者支援を訴え続け、戦後の民主化の流れの中で合法政党として再建されました。新憲法では戦争放棄を定めた9条を「歴史的前進」と評価し、日本の平和主義の礎を歓迎しました。

日本共産党の基本理念と政治スタンス

戦前の弾圧経験は、党に「人権と民主主義を守る」という強い自覚を与えました。その後、旧ソ連型の硬直した路線を離れ、現在は「科学的社会主義」を土台にした民主的社会主義を目指しています。格差是正、公正な経済運営、平和主義、参加型民主主義が柱です。冷戦期から反核・反基地運動に軸足を置き、今日も米軍基地問題や憲法改正に反対して「武力より外交と協調で安全を確保するべきだ」と主張しています。2024年1月の第29回党大会で田村智子委員長が就任し、世代交代が進みました。

組織構成と機関紙「しんぶん赤旗」の役割

党の最高決定機関は、2~3年ごとに開かれる党大会(直近は2024年)です。そこで選出された中央委員会が次の大会まで方針を実行し、全国の都道府県委員会や支部が地域の課題に取り組みます。機関紙『しんぶん赤旗』は日刊紙と日曜版があり、政策だけでなく調査報道も掲載。最近は YouTube や X(旧Twitter)でのライブ配信を拡大し、若年層への情報発信を強化しています。

経済政策と社会保障 — 貧困問題への取り組み

経済面では「誰もが安心して暮らせる社会」を目標に、最低賃金を全国一律1,500円まで引き上げるとともに、中小企業へ公的助成を行う方針です。消費税は当面5%へ引き下げ、その後の廃止を視野に入れています。非正規雇用の待遇改善、長時間労働の是正、奨学金返済負担の軽減など、若者支援策も充実させました。コロナ禍では家賃補助や給付金の再支給を求め、生活困窮者対策を前面に押し出しています。

外交・安全保障政策 — 平和憲法の擁護と非核化の推進

外交・安保では憲法9条の改正や「敵基地攻撃能力」保有に反対し、専守防衛を掲げています。日米安保条約は将来的に廃棄し、対等・平和の新条約を締結したうえで米軍基地を段階的に撤退させることを目標にしています。非核三原則の堅持と核兵器禁止条約の批准を政府に求め、被爆地の声と連携しながら核廃絶を訴え続けています。

環境政策 — 脱原発と再生可能エネルギーへの転換

福島第一原発事故を重い教訓とし、党は「できるだけ早期の原発ゼロ」を掲げます。再稼働や新増設を認めず、再生可能エネルギーを急拡大するグリーンニューディールを提案。2030年度までに2013年度比で50~60%の温室効果ガス削減を目指し、国内外の協調で気候危機に対応しようとしています。

議会活動と政策提案 — 野党連携の中での日本共産党の立場

2025年現在、党は衆議院8議席、参議院11議席を有し、立憲民主党や社会民主党などと協力して政策を提案しています。消費税5%減税法案や大学授業料の段階的無償化法案、長時間労働是正の労働法改正案などを提出し、防衛費倍増の財源問題や旧統一教会問題の追及でも存在感を発揮しています。

課題と展望 — 共産主義への偏見と政策実現の壁

「共産」という名称に伴う先入観や、指導部の高齢化と若手育成の遅れは、党勢拡大の課題です。また野党ゆえに法案成立まで時間がかかり、実績を示しづらい面もあります。この壁を越えるため、デジタル広報の強化、地域密着の生活相談、LGBTQ+など新しい社会課題への提言を通じてイメージ刷新を図っています。

まとめ — 戦後日本の革新勢力としての役割

日本共産党は戦前の弾圧を乗り越え、戦後は平和主義と格差是正、脱原発を一貫して訴えてきました。田村新体制のもとで若い世代への共感を広げ、現実的な政策実現力を高められるかが、これからの党勢拡大の鍵となるでしょう。